医学部小論文において大学側が受験生の資質として見きわめたい点を細かく列挙すると以下のようになるのではないでしょうか。
(国語・小論文担当 木村彰宏講師)
①最新の医学的知識や医学に関する興味・関心・熱意
②論理的思考力を経た上で自らの定見を持てる力やそれを表現する力
③他者に対する深い思いやりや共感能力・寛容と奉仕の精神や協働性
④一般常識や社会性・高い倫理観
⑤先見的な視野や迅速な判断力・対応能力・発想力
⑥問題点や本質を正確に見抜く洞察力‥‥などなど
まだまだありそうですが、少なくとも他の受験科目で十分に錬磨された思考力や深い学識、及び優れた処理能力とともに①~⑥の力が備わっていれば、それこそ医師でなくともほぼパーフェクトな人間ができあがるのではないかと思えるくらいです。面接試験においても同様に上記の点が試されると言えますし、さらに人に対して安心感を与えられる人間力があるかという点やコミュニケーション能力の有無なども考慮に加わり観察されます。
もちろん小論文の課題でこれらの全てを測れるようなテーマや設定を用意するのはなかなか難しいので、多くの大学は「ウチは特にこの点を重点的に問わせて頂きますよ」というように、ある程度の傾向やコンセプトを備えているのが通常です。(当然その傾向や形式が突然変わることはよくあることですが)
したがって、普段から上記に挙げたような点が評価されるのだということを踏まえた上で、自分が受験しようという大学の小論文の形式はもちろんのこと、その傾向なども知っておくことが小論文における高得点・高評価に繋がりやすいと言えるでしょう。
例 2023年度入試 大阪医科薬科大学 一般前期 (30分 400字)
テーマ「墓は本当に必要か」
30分という短い時間内に書かせるという点から⑤の対応能力や発想力と②のしっかりとした自分の意見を根拠を交えて表現できているかを問うていると考えられます。
さらにテーマ内容から④の一般常識や⑥の本質として「先祖を重んじ、またそれら死者に対して恥ずかしくない生き方を送ろうとするという日本人の心性や美点」を理解しているかという点も問われていると言えるでしょう。
その他、最新の医療的な時事問題を出す「昭和大学」や、絵や写真あるいは短歌や俳句を見て考えを書かせるというずばり発想力勝負の「順天堂大学」「東海大学」「愛知医科大学」など特徴的な大学が多く見られます。それらの各大学の特徴を踏まえた上で小論文を書く心構えや準備をして試験に臨んで下さい。
Medi-UP 小論文担当
木村 彰宏
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