日本の少子高齢化傾向が収束しない限り、小論文のテーマとして「高齢社会における医療問題」は今後も毎年のように出題されることが考えられます。このような時事的な頻出医療問題テーマに対処するために自分のネタとしてキーワードで覚えておくことが有効となります。
医療問題がテーマとして出題される場合は、そのような問題に対する関心の有無が問われていると言えます。その要求に対して、高く評価されるようなしっかりとした文章を展開するためには、「定義」「問題点」「対策」における正確な知識・理解が必要となります。
(国語・小論文担当 木村彰宏講師)
以下は「高齢社会における医療問題」というテーマの、「定義」「問題点」「対策」のそれぞれ知っておいて欲しい項目です。
① 「定義」
・高齢社会とは総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が14パーセント以上の社会である。日本では1995年にこのラインを超えた。
・65歳以上の高齢者が総人口の21パーセント以上になると超高齢社会と言う。
②「問題点」
・高齢者の割合が増加すると患者に対する医師がますます不足する。特に高齢者の割合が高い「地域医療」の現場では深刻である。
・医療費の増大による医療費財政の破綻が懸念される。
③「対策」
・「健康寿命を延ばす」ための「予防医療」。
・「生活習慣病」や「認知症」の発症を抑えるための工夫や活動を地域社会が主導する。
・「地域医療」の現場では高齢者の総合的な健康管理ができる「プライマリ・ケア医」を養成する。
それぞれ一言一句を覚えることは少し煩わしいことになります。そこで、各項目において欠かせないキーワード(下線部分)を覚えておきます。それを元にして文章を復元するという作業を行えば同じようなテーマが出題されたときにいつでも対応できるでしょう。
[清書例]
総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が14パーセント以上の社会を高齢社会と呼ぶが、今日の日本は21パーセントを越え、超高齢社会と呼べる状態となっている。
日本では現在、医師不足が叫ばれているが高齢者の割合がこれ以上増加すると、ますます患者に対する医師が不足することになる。特に高齢者の割合が高い「地域医療」の現場では問題が深刻である。また医療費の増大によって、医療費財政の破綻が懸念される。
超高齢社会に対応するには、健康寿命を延ばすことを目的とした「予防医療」を推し進めることが有効となる。そのためには「生活習慣病」や「認知症」の発症を抑える工夫や活動を医師や国民個人個人に任せるのではなく、地域社会が主導することが効果的となる。
また「地域医療」の現場では高齢者の総合的な健康管理ができる「プライマリ・ケア医」の養成が今後必要となってくる。(373字)
Medi-UP 小論文担当
木村 彰宏
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。