こんにちは。数学科の大矢圭祐です。2/10(金)の大阪医科薬科大学前期入試をもって関西4私大の1次試験が終わりました。この記事ではそれぞれの大学の数学の問題について概観していこうと思います。
(数学・物理担当 大矢圭祐講師)
兵庫医科大学(1/25)
近年は分量や計算量が多く、解答に時間を要する問題が多く出題されていましたが、今年は基本的な問題が多く見られました。複素数平面上における対称点の求め方や部分分数分解による和の計算など、一度は見たことがあるであろう問題で、いかにミスなく計算できたかが勝負を分けたところでしょう。その中では、第1問(5)はシンプソンのパラドックスといわれるもので、統計学上では有名な問題ですが、受験生にとっては目新しく、戸惑った方もいたかもしれません。しかし、生徒の感想を聞いていると、きちんと書けている人が多かったので、意外とこの部分では差がつかなかったことでしょう。やはり、「基本問題をいかに正確に解くことができるか」という点が合否を分けていると思われます。
関西医科大学(1/28)
大問ごとの難易度の差がはっきりと分かれていました。第1問の因数分解は、パズルをするのでなく、「1つの文字について降べきに整理する」という基本を守ればミスなく解答できるものでした。試験の場ではいつも通りの力が出しにくいものですが、そういう時に頼れるのは、基本的な解答の体系化であると実感できたのではないでしょうか。また、第2問は数列の問題でしたが、nとkという2つの文字の扱いに戸惑った方が多いかと思われます。実はこの問題は、「k = 5」などと、具体的な値を当てはめてみると途端に簡単な問題になってしまいます。普段の学習から「具体的に考えて問題の本質をつかむ」訓練をしていれば、このような発想もできたかと思います。問題を解くときには、「どの変数に注目すべきか」、「この方程式を解くと何が求まるか」などと考えながら解くようにしましょう。
近畿大学(1/29)
例年と比べるとやや難易度が上がり、解きにくい問題が並んでいました。確率はルールが複雑でそれを把握するのに戸惑った方も多くいたことでしょう。結局書き出すことになりますが、場合分けもミスしやすいものかと思います。丁寧に解くことが求められました。第2問はデータの分析と整数の融合問題でした。特に分散の求め方を公式として覚えてしまっている受験生にとっては計算量が無駄に多くなり、解答しにくい問題に見えたことでしょう。その量の意味を押さえておけば、計算の工夫をすることができます。普段の学習から、公式や定理の意味を理解し、深く考えるような学習を心がけましょう。第3問は図形の問題でした。図を描き、余弦定理を適用すれば解答できます。突飛な発想はいらないので、丁寧な解答を意識しましょう。
大阪医科薬科大学(2/10)
第1問以外は難易度が高いものでした。逆に言うと、第1問はどうしても落とすことはできません。基本的な解法を押さえつつ、計算をミスなくすことが求められます。その他の大問については、入試での頻出問題から少し形を変えて出題されていました。問題の表面だけをなぞるのではなく、しっかりと背景にある考え方を押さえるような学習が必要となります。しかし、実はこれらの問題は、国公立の過去問で類題が多く出題されています。大阪医科薬科大学を目指すなら、国公立の過去問を演習してみるとよいでしょう。
今回は関西4私大の数学について概観しました。やはり、どの大学でも大切なのは「基本的な問題をいかに正確に解けるか」ということでしょう。そのために必要なのは基本解法の体系化です。表面だけをなぞった学習ではなく、問題一つ一つを深く考えながら解くようにしましょう。国公立入試を含め、まだまだ入試は続きます(執筆現在)。受験生の方は気を抜くことなく勉強と続けてください。来年、入試を迎える方は、今回書いたような点に注意しながら学習を続けてください。皆さんが確かな数学力、論理的な思考力を身に付けて、医学部合格を勝ち取ることを願っています。
疑問に思った点、数学学習についての相談がある場合は気軽にご相談ください。一緒に医学部合格に向けて頑張りましょう。
Medi-UP講師
大矢 圭祐
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